提携企業の重要性:ラティスとIPパートナー
Posted 05/01/2018 by Jatinder (JP) Singh
昔の言い伝えで、“三人寄れば文殊の知恵”というのがありますが、戦略的な提携企業においてこれほど真実なことはありません。最終消費者へのサポートに注力している企業にとって、提携企業はもっとも大事な存在といっても過言ではありません。顧客に利益をもたらすため相乗効果を発揮し、共通の価値を高め合う必要があります。また、知識の伝達や機能構築を通してそれぞれの事業を強化するために協業しなければなりません。
ラティスのようなFPGA企業は異なる市場セグメントから全く違った機能を必要とすることは非常に一般的です。これらのアプリケーションの多くは、FPGAで実装可能な標準的機能を必要とします。その業界固有なものもあれば、規格化されている機能もあります。車載セグメント向けのLIN(Local Interconnect Network)、コントローラエリアネットワークなどのネットワーキングIPからカメラやディスプレイ向けのハイダイナミックレンジ画像信号処理(HDR ISP)、産業、コンシューマセグメント向けの最新のLCDパネル用のDisplayPort準拠のインターフェースなど多岐に渡ります。これらIPのすべては極めて専門的で、組織はその専門知識を得るための投資が必要となります。そのようなIPの専門家である組織と提携することで、企業は顧客に機能と全体的な価値をもたらすことができます。
過去数年間で、当社はいくつかのIP設計の提携企業と協業し、多くの低消費電力で生産価格のFPGAに求められる機能を提供しています。当社のサードパーティのエコシステムによって、世界最小のiCE40 FPGAシリーズから、ECP5のような高性能で低消費電力のSERDESベースであるFPGAなど、多くの製品のサポートができます。これら提携企業はライセンスモデル、サポートの構造、エンドシステムへの統合の容易など、さまざまなIPの利点に基づいて慎重に選択されています。このブログでは、当社のFPGAに新しい機能と可能性をもたらす新しいソフトウェアベースのIP提携企業をご紹介します。
CAST, Inc.
最も古い提携企業の1つであるCAST社と当社は15年以上にわたってビジネスに携わっています。同社は開発時間の節約と機能の追加が可能な、事前設計・検証されたさまざまなIPコアを提供しています。彼らの主なスローガンは、管理費用を低く抑える設計再利用を可能にすることで、顧客満足度とサポートに注力する非常にユーザー中心の組織です。同社は常に自社のIPをラティスのFPGAに移植することを望んでいます。ここでは、最近利用可能になったものの一例を紹介します。
コントローラエリアネットワークコントローラー
1980年代にRobert Bosch GmbHによって最初に提唱されたController Area Network(CAN)は、1993年にISOによる標準化が始まる前に広く使われていた車載ネットワーク規格でした。データレートの高速化が求められるにつれ、Bosch社は積極的にそれらをCAN 2.0とCAN-FD(フレキシブルデータレート)への拡張しました。CANは、様々なサブシステム向けに70個もの電子制御ユニット(ECU)を備え、最新車両に多く利用されています。ハイブリッド/電気自動車向けのエンジン制御ユニット、変速機、エアバッグ、アンチロックブレーキ/ ABS、クルーズコントロール、電動式パワーステアリング、オーディオシステム、パワーウィンドウ、ドア、ミラー調整、バッテリー、充電システムはCANバスによる通信システムの数例です。
CAST社のCASTコントローラーIPコアは様々なラティスのFPGAで利用可能です。CANプロトコルバスコントローラはCAN 2.0およびCAN FD仕様に基づいてシリアル通信を実行します。ISO 19898-4で規定されたTTCAN(時間起動型システム)を含む、ISO 1989で定義されている初期のBosch社によるプロトコルとISO仕様に対応しています。また一般的なAUTOSARおよびSAE J1939仕様の対応にも最適化されています。
Local Interconnect Network (LIN)
LINは車載プラットフォームの最も古いネットワークプロトコルの1つです。車両コンポーネント間の通信向けのシリアルネットワークプロトコルです。車に実装される技術や設備が向上するにつれて、(CANと比較して)安価のシリアルネットワークのニーズが高まりました。LINコンソーシアムは、Volcano Automotive Groupおよびモトローラ社から提供された技術(ネットワーク・ハードウェアの専門知識)を持つ5つの自動車メーカー(BMW、フォルクスワーゲン、アウディ、ボルボ、ベンツ社)によって設立されました。興味深いことに、この技術がシートベルト、クルーズコントロール、空調、ラジオ、小型モーター、コントロールパネルなどのセンサーライト/アイコンとして、今日の車でもまだ使用されていることです。
CAST社のLINコントローラーコアはFPGA実装で再利用するため、マイクロコードフリー設計を提供しています。このコアはマスターもしくはスレーブ機能向けに構成可能でき、検証済みで製造されています。
JPEG 圧縮IPコア(ベースラインと拡張)
写真のJPEGファイルやJPGファイルは私たち全員が知っています。RAW形式の画像を利用できるデジタルカメラを使ったことがある人は、ファイルサイズがJPEGファイルの約10倍になる可能性があることを知っているでしょう。これは、一般的に使用されている方法で、圧縮率を調整してストレージサイズと画質のトレードオフを可能にするデジタル画像の非可逆圧縮です。
CAST社はハードウェアベースのJPEG圧縮向けに2つのIPコアを提供します。JPEG-E-Sエンコーダは、圧縮されたJPEG画像およびMotion-JPEGコンテナ形式のビデオペイロードデータを生成します。広く普及しているカラーサブサンプリング形式で、8ビットカラーサンプルと最大4色コンポーネントが利用可能です。迅速な市場投入が必要なお客様向けに、完全なJPEGサブシステムを受信するためのCAST社IP統合サービスがあります。このコアは業界のベストプラクティスを基に設計されており、厳しい検証と顧客生産の両面で、信頼性と低リスクが実証されています。製品には完全な検証環境とビット精度のソフトウェアモデルが含まれています。.
Helion Vision社
2003年に設立されたHelion Vision社は画像前処理ISPで15年以上の経験があり、ハイダイナミックレンジ(HDR)画像処理から車載機器、医療、セキュリティ、産業の分野にわたって専門知識を提供します。FPGAデバイスにおけるリアルタイムで画像の前後処理ができる高度なIPコアを実装し、設計しました。
ラティスとHelion Vision社は過去にLatticeECP3デバイス向けのIONOS画像信号処理(ISP)で協業してきました。今はこの最先端のISPパイプラインを当社のECP5デバイスにもたらしました。
IONOS画像信号処理
Helion Vision社のIONOS IPコアは100を超える個々のIPコアのライブラリを利用したプラグ&プレイ処理ソリューションを提供します。IONOSは、カスタマイズされたカメラシステム、撮像モジュール、車載、医療、セキュリティおよび産業市場向けに最適なカメラ・ディスプレイシステムのIPコアポートフォリオを活用することで、事前設定された、すぐに利用できるISPを提供します。研究開発において10年以上の経験を持つHelion Vision社は、カメラ開発を効率的、迅速にするための幅広いデザインサービスを提供しています。
Helion Vision社のIONOS ISPはユーザー設定可能なISPパイプラインIPで、画像センサインターフェースから独立しています。パネル、アプリケーションプロセッサもしくはSoCsなどの様々な伝送インターフェースに対応しています。
Bitec社
ラティスの新しい提携企業の1つは一般的なディスプレイインターフェースであるDisplayPortで協業したBitec社です。Bitec社は高性能な技術の助言を世界中の顧客に提供するために2002年に設立されました。Bitec社の本社はスペインのマルベーリャです。同社は10年間、国内外で数多くの大規模な研究、開発、革新やコンサルティング(顧客向けの開発プロジェクト)に携わってきました。
DisplayPort 1.4a IPコア
DisplayPort (DP)はPCおよびチップ製造によって開発されたデジタルディスプレイインターフェースで、VESA(Video Electronics Standards Association)によって規格化されました。このインターフェースは本来、ビデオソースを、コンピュータのモニターなどのディスプレイデバイスに接続するために用いられており、オーディオ、USBや他のデータ形式にも対応しています。DisplayPortはVGA、DVIおよびFPD-Linkを置き換えるよう設計され、HDMIやDVIなどの他のインターフェースとの後方互換性を提供します。
ECP5 FPGA向けのBitec社DisplayPort IPコアはメーカーの迅速な開発を可能にし、刻々と減っていく製品寿命内で、優れた視聴体験を提供するディスプレイを実現します。このIPコアは1.62 Gbpsか2.7Gbpsのリンクレートで1,2および4レーンに対応し、DisplayPort 1.4仕様に準拠しています。このコアはeDP追加レートを含む組込みDisplayPort (eDP)にも準拠しています。
最大1080p60の解像度に対応し、産業、車載、およびコンシューマアプリケーション向けのトランスミッタ(Tx)とレシーバ(Rx)オプションの両方が利用可能です。
まとめ
上記のとおり提携企業はラティスの事業にとって戦略的に重要です。良いパートナーシップを結ぶことで、ビジネスの競争力、追加リソースへのアクセス、顧客ベースの向上を提供するとともに、新製品やサービスを可能にします。当社の提携企業は私たちのお客様に、新しい市場と強みをお互いに得られるような価値をもたらします。
戦略パートナーは常に、それぞれの部分の合計よりも優れた成果を出します。三人寄れば文殊の知恵で、協業が成功を導きます。
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