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様々なFPGA

Bob O’Donnell: Different Types of FPGAs
Posted 02/26/2020 by Bob O’Donnell

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前回のこのブログ(An FPGA Primer)でも述べたように、 FPGA (Field Programmable Gate Array) は柔軟な半導体デバイスであり、製品に組み込まれ、市場に出荷された後でもハードウエアを変更または更新できる機能が組み込まれています。(これが FPGA と呼ばれる所以となっています。)

しかしFPGA と呼ばれるものが、すべて同じというわけではありません。あるFPGAはクラウドデータセンターなどで求められる高性能かつデータ集約型のワークロード向けに設計されており、動作に数百ワットもの電力を必要とする場合があります。一方、軽快に、低消費電力で動作するように設計され、わずか1mW(1ワットの千分の一)程度で動作するFPGAもあります。他にも、それらの中間に位置し様々なアプリケーションで1ワット程度の消費電力で動作するものもあります。このようにFPGAは同じ再プログラム可能な基本特性を持っていますが、非常に柔軟性が高く多様な環境で使われます。

たとえばクラウドデータセンターを例にとると、Microsoft社は高性能FPGAを使用してBing検索エンジンの検索を高速化しています。FPGAはCPUと連携して動作し、Microsoft社がBing用に開発した検索アルゴリズムの特定の部分を高速化します。その結果、パフォーマンスが向上しただけではなく、FPGAはCPUやGPUと比較して電力あたりの仕事率が高効率なため、全体の消費電力が大幅に削減されました。

このような大型・高性能・高消費電力のFPGA(インテル社やザイリンクス社などが製造している) が使用されている同じタイプのサーバーで、サイズが小さく、低消費電力タイプのFPGA(ラティスセミコンダクターが製造している)が使われていることもあります。このようなFPGAは特定のいくつかの機能、例えばシステム制御や電源制御、システムファームウエアの安全性を確保する機能などに特化しており、低消費電力で動作します。これらの機能はそれほど魅力的ではないかもしれませんが、この小さなFPGAはクラウドやエンタープライズデータセンターでセキュリティーなど重要な機能を担っています。

さらに興味深いのは、サイズが大きくなっても低消費電力で動作できるFPGAです。このようなFPGAは、コンピュータービジョンや人工知能の推論などの最先端アプリケーションを効率的に実行できます。中規模サイズのFPGAは、ドローン、家庭用防犯カメラ、ウェアラブルなどの民生用製品から、予知保全、モーター制御、マシンビジョンなどの産業用用途を含む様々なアプリケーションに求められており、低消費電力のエッジコンピューティングデバイスで人工知能ベースのソフトウェアアルゴリズムを実行するといった特別な処理を行っています。

FPGAは長年にわたって非常に重要な役割を果たしてきましたが、携帯電話ネットワークを支える通信インフラストラクチャ機器での役割はほとんど知られていません。現在広がりつつあり、注目を集めている5Gネットワークは、そのネットワークインフラストラクチャにも大きな注目が集まっており、それを支えるFPGAの認知度もますます高まっています。FPGAの柔軟性、製品化までの時間の短さ、プログラマビリティ、および並列処理機能は、急速に進化する5Gネットワークにも最適です。世界中の通信事業者は5Gミリ波サービスを必要とし、FPGAの能力を用いた新しいタイプのインフラストラクチャ機器(小型または「ピコ」セルなど)を導入し、既存のインフラストラクチャの更新を急いでいます。FPGAの柔軟性により、ダイナミックスペクトラムシェアリング、キャリアアグリゲーションなどの複雑な新機能の活用や、ソフトウエアアップデートによる既存の4Gインフラストラクチャの更新および近代化を行うことができます。

FPGAはその内部構造により柔軟性が高いというだけではなく、特定のハードワイヤード機能、特に複数の異なる信号との接続も可能なことは非常に魅力的です。 たとえば、車載機器におけるFPGAは、カメラ、LIDARなどの複数のセンサーからの情報を「融合」するためのツールとして新しい役割を担い始めており、インフォテインメントシステムなどに用いられています。このセンサーフュージョン機能は、ブリッジとも呼ばれることもありますが、コネクテッドカーのアシストおよび自動運転機能にとって必要不可欠な機能です。さらに電気自動車では、電動モーターの駆動制御や保護などにも用いられます。

これら新しい機能のほとんどは、さまざまな環境で利用できる、より小型で低消費電力のFPGAが必要とされます。すべての製品でエンタープライズサーバーなどに必要とされる、高性能、高消費電力のFPGAが用いられるわけではなく、高度に接続された急速に変わりつつある世界では、最適なFPGAへ非常に大きい機会が広がっています。

次のブログでは、低消費電力FPGAの重要なアプリケーションであるエンベデッドビジョンについて説明します。

Bob O’Donnellは、テクノロジー業界と専門金融コミュニティに戦略的コンサルティングと市場調査サービスを提供する市場調査会社TECHnalysis Research, LLCの社長兼チーフアナリストです。 Twitter @bobodtechでフォローできます。

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